カフェインの除去方法の違い|紅茶の各社の公開状況
先に結論
- カフェインを取り除く方法には、原料から二酸化炭素・有機溶剤・湯などで溶かし出す方法と、できた抽出液から吸着剤で取り除く方法があります。
- 除去方法の名前まで公開している紅茶は一部です。図鑑の商品の公開状況は、この記事の表にデータから出しています。
- 除去に使う物質の法的な扱いは国ごとに違います。当サイトは、方法ごとの安全性の優劣や、商品が法令に合っているかを判断しません。

デカフェ紅茶は、ふつうの紅茶からカフェインを取り除いてつくります。この記事では、取り除く方法の仕組みを学術資料と公的機関の資料の範囲で説明し、図鑑の商品がどの方法を公開しているかを、メーカーの記載から一覧にします。
カフェインは、どうやって取り除く?
大きく分けて、原料(茶葉やコーヒー生豆)から溶かし出す方法と、いれた後の抽出液から吸着剤で取り除く方法があります。茶葉・ティーバッグのデカフェ紅茶は、前の方法でつくられます。
茶葉やコーヒー生豆からカフェインを除く従来の方法は、原料から湯・超臨界二酸化炭素・有機溶剤などでカフェインを溶かし出す方法で、カフェインと一緒に香りや味の成分も出てしまうことがあり、除去とおいしさの両立は難しいと考えられてきた、と学術誌の総説は説明している。
出典:日本食品科学工学会誌(塩野貴史・河合淳一郎・山本研一朗)「天然吸着剤による飲料からのカフェイン除去技術(総説)65巻3号 99-103, doi:10.3136/nskkk.65.99」(発行 2018年3月・2026年10月12日確認)
溶かし出すのに使うものによって、主に次の方法に分かれます。定義は用語集と同じです。
超臨界二酸化炭素抽出法一般的な意味
臨界点(31.1℃・73.8気圧)を超えた高圧の二酸化炭素に、原料のカフェインを溶かし出して取り除く方法。温度と圧力で溶かす力を調整でき、コーヒー生豆では水を含ませてから処理し、二酸化炭素に移ったカフェインは水や活性炭で分ける。
根拠: 化学と生物(斎藤正三郎)、化学工学論文集(平賀佑也ほか)、日本食品化学研究振興財団(消費者庁「食品添加物」のページからリンク)、欧州連合(EUR-Lex)(用語集)
有機溶剤による除去(酢酸エチル・塩化メチレン)一般的な意味
酢酸エチルや塩化メチレン(ジクロロメタン)などの有機溶剤にカフェインを溶かし出して取り除く方法。海外ではコーヒーや茶のカフェイン除去に使える溶剤と残留の上限が法令で決められている(EU・米国)。
根拠: 日本食品科学工学会誌(塩野貴史・河合淳一郎・山本研一朗)、欧州連合(EUR-Lex)、米国 連邦規則(GovInfo)、米国 連邦規則(GovInfo)、消費者庁、食品安全委員会(平成22年度食品安全確保総合調査の抜粋)/日本食品化学研究振興財団(用語集)
吸着による除去一般的な意味
いれた茶やコーヒーの抽出液に、活性炭や粘土鉱物(モンモリロナイトなど)の吸着剤を入れて、カフェインをくっつけて取り除く方法。主にペットボトルなどの飲料の製造で使われる技術。
湯(水)だけで溶かし出す方法もあると学術誌の総説は書いていますが、紅茶での具体的な方法を書いた公的・学術の資料は、今回は確かめられませんでした。
超臨界二酸化炭素抽出法は、どんな方法?
高い圧力をかけた二酸化炭素に、カフェインを溶かし出す方法です。温度と圧力で溶かす力を調整できるのが特徴とされています。
超臨界二酸化炭素は、臨界点(31.1℃・73.8気圧)を超えた状態の二酸化炭素で、臨界点の近くでは温度や圧力で密度(溶かす力)が大きく変わる。常温に近い温度で扱え、燃えず、無臭・無毒で安価なことから、食品の抽出に使われてきた。
出典:化学と生物(斎藤正三郎)「連載講座 最近の食品加工技術-2 食品・天然物の超臨界ガス抽出 (1) 原理と応用例 24巻2号 122-」(2026年10月12日確認)
処理の手順を書いた学術資料は、コーヒー生豆についてのものです。
コーヒー生豆の超臨界二酸化炭素によるカフェイン除去では、豆に水を含ませてから抽出する。乾いた豆では香りが先に抜けやすく、水はカフェインを選んで取り出すために欠かせないとされ、二酸化炭素に移ったカフェインは水で洗う・活性炭に吸わせるなどして分ける。
出典:化学と生物(斎藤正三郎)「連載講座 最近の食品加工技術-2 食品・天然物の超臨界ガス抽出 (1) 原理と応用例 24巻2号 122-」(2026年10月12日確認)
2026年の化学工学論文集の研究(東北大学ほか)は、コーヒー生豆の超臨界二酸化炭素によるカフェイン除去で、事前の含水率40 wt%が最適で、高温・高圧ほど抽出率が上がったと報告している。抽出後の乾燥で糖が最大約50%失われた一方、官能評価は未処理より高かった。
出典:化学工学論文集(平賀佑也ほか)「コーヒー生豆を対象とした超臨界CO2デカフェ抽出法における糖の損失抑制プロセスの構築 52巻1号 1-10, doi:10.1252/kakoronbunshu.52.1」(発行 2026年1月20日・2026年10月12日確認)
紅茶の茶葉をどんな条件で処理しているかを書いた公的・学術の資料は見つかりませんでした。コーヒーの条件が、そのまま紅茶に当てはまるとは言えません。
有機溶剤を使う方法は?
酢酸エチルや塩化メチレン(ジクロロメタン)などの有機溶剤に、カフェインを溶かし出す方法です。EUと米国では、コーヒーや茶のカフェイン除去に使える溶剤と、残ってよい量の上限が法令で決められています。
EUの抽出溶剤の指令(2009/32/EC)は、二酸化炭素と酢酸エチルを、適正製造規範に従えばすべての用途に使える溶剤としている。ジクロロメタンは「コーヒーと茶のカフェイン除去」などに条件つきで認め、残留の上限を焙煎コーヒーで2 mg/kg、茶で5 mg/kgとしている。
出典:欧州連合(EUR-Lex)「Directive 2009/32/EC on the approximation of the laws of the Member States on extraction solvents(Annex I, consolidated 16.02.2023)」(統合版の日付 2023年2月16日・2026年10月12日確認)
仕組みをくわしく書いた学術資料は今回は確かめていないため、この記事では法令の定めの事実だけを載せています。
除去に使う物質の扱いは、国によって違う?
違います。日本・EU・米国で、二酸化炭素・酢酸エチル・ジクロロメタンの扱いは次のとおりです(原文で確かめた範囲)。
| 決まり・資料 | 中身 | 対象・範囲 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 二酸化炭素 | 指定添加物リストに載っている | 日本(規則別表第1・令和6年3月1日改正まで反映の一覧) | 日本食品化学研究振興財団(消費者庁「食品添加物」のページからリンク)(2026年10月12日確認) |
| 酢酸エチル | 「着香の目的以外に使用してはならない」(例外にカフェイン除去は書かれていない) | 日本(食品添加物の使用基準) | 消費者庁(2026年10月12日確認) |
| ジクロロメタン(塩化メチレン) | 指定添加物リストに載っていない | 日本(令和6年3月1日改正まで反映の一覧) | 食品安全委員会(平成22年度食品安全確保総合調査の抜粋)/日本食品化学研究振興財団(2026年10月12日確認) |
| EUの抽出溶剤の指令 | 二酸化炭素・酢酸エチルはすべての用途。ジクロロメタンは茶のカフェイン除去で残留5 mg/kgまで | EU(指令2009/32/EC、統合版2023-02-16) | 欧州連合(EUR-Lex)(統合版の日付 2023年2月16日・2026年10月12日確認) |
| 米国 21 CFR 173.228 | 酢酸エチルをコーヒーと茶のカフェイン除去に使える | 米国(2024年4月1日版) | 米国 連邦規則(GovInfo)(CFR 版 2024年4月1日・2026年10月12日確認) |
| 米国 21 CFR 173.255 | 塩化メチレンの残留は、カフェインを除いた焙煎・インスタントコーヒーで10 ppm以下(茶の記載なし) | 米国(2024年4月1日版) | 米国 連邦規則(GovInfo)(CFR 版 2024年4月1日・2026年10月12日確認) |
図鑑の紅茶は、除去方法を公開している?
一部です。図鑑の紅茶42件のうち、除去方法の名前まで公開している商品は13件で、そのうち二酸化炭素を使う方法と書いているのは13件でした(2026年10月12日時点)。
| ブランド | 図鑑の商品 | 除去方法を公開 | 量の記載あり | 割合の記載あり | 公開している方式の記載(原文) |
|---|---|---|---|---|---|
| TEAPOND(ティーポンド) | 4件 | 3件 | 0件 | 3件 | 「超臨界二酸化炭素抽出法」 |
| TULLY’S &TEA(伊藤園) | 1件 | 0件 | 1件 | 0件 | 方式名の記載なし |
| アーマッドティー(AHMAD TEA) | 6件 | 0件 | 6件 | 0件 | 方式名の記載なし |
| ダマンフレール | 1件 | 0件 | 0件 | 0件 | 方式名の記載なし |
| ティーブティック | 8件 | 8件 | 8件 | 0件 | 「デカフェ紅茶・ジャスミン茶シリーズは、「超臨界二酸化炭素抽出法」で、茶葉からできる限りカフェインを取り除いています。」 「超臨界二酸化炭素抽出法」 |
| ディルマ(Dilmah) | 1件 | 1件 | 0件 | 1件 | 「超臨界二酸化炭素抽出法という環境にやさしい自然な製法で、カフェインを抽出除去しています。」 |
| トワイニング | 1件 | 0件 | 0件 | 0件 | 方式名の記載なし |
| フォートナム・アンド・メイソン | 3件 | 0件 | 0件 | 0件 | 方式名の記載なし |
| リプトン | 4件 | 0件 | 4件 | 0件 | 方式名の記載なし |
| ルピシア | 7件 | 0件 | 0件 | 5件 | 方式名の記載なし |
| 日東紅茶 | 4件 | 0件 | 4件 | 0件 | 方式名の記載なし |
| 澤井珈琲 | 2件 | 1件 | 0件 | 0件 | 「超臨界二酸化炭素抽出」 |
当サイトの数え方では、「化学薬品を使用しない方法」「特殊な製法」のように、方式の名前を書かずに説明している商品は「非公開」に入れています。方式の名前が分からないと、どの方法かを読む人が確かめられないためです。数が多い・少ないは、商品の良し悪しではありません。
方式の名前を公開している商品は、次のとおりです。
| 商品 | 形 | 除去方法 | 確認日・出典 |
|---|---|---|---|
| デカフェ アッサム 袋入り 茶葉 50gTEAPOND(ティーポンド) | 茶葉(リーフ) | 公開:二酸化炭素(CO2)を使う方法 | 公式の記載(2026年10月12日確認) |
| デカフェ セイロン 袋入り ティーバッグ 10個TEAPOND(ティーポンド) | ティーバッグ | 公開:二酸化炭素(CO2)を使う方法 | 公式の記載(2026年10月12日確認) |
| デカフェ ダージリン 袋入り 茶葉 40gTEAPOND(ティーポンド) | 茶葉(リーフ) | 公開:二酸化炭素(CO2)を使う方法 | 公式の記載(2026年10月12日確認) |
| ティーブティック デカフェ紅茶 アールグレイティーブティック | ティーバッグ | 公開:二酸化炭素(CO2)を使う方法 | 公式の記載(2026年10月12日確認) |
| ティーブティック デカフェ紅茶 アールグレイジャスミンティーブティック | ティーバッグ | 公開:二酸化炭素(CO2)を使う方法 | 公式の記載(2026年10月12日確認) |
| ティーブティック デカフェ紅茶 アップルティーブティック | ティーバッグ | 公開:二酸化炭素(CO2)を使う方法 | 公式の記載(2026年10月12日確認) |
| ティーブティック デカフェ紅茶 セイロンティーブティック | ティーバッグ | 公開:二酸化炭素(CO2)を使う方法 | 公式の記載(2026年10月12日確認) |
| ティーブティック デカフェ紅茶 ピーチティーブティック | ティーバッグ | 公開:二酸化炭素(CO2)を使う方法 | 公式の記載(2026年10月12日確認) |
| ティーブティック デカフェ紅茶 ベリーミックスティーブティック | ティーバッグ | 公開:二酸化炭素(CO2)を使う方法 | 公式の記載(2026年10月12日確認) |
| ティーブティック デカフェ紅茶 マスカットティーブティック | ティーバッグ | 公開:二酸化炭素(CO2)を使う方法 | 公式の記載(2026年10月12日確認) |
| やさしいデカフェ紅茶プレミアム 国産苺ティーブティック | ティーバッグ | 公開:二酸化炭素(CO2)を使う方法 | 公式の記載(2026年10月12日確認) |
| カフェインレスティー(個包装ティーバッグ 2g×10袋)ディルマ(Dilmah) | ティーバッグ | 公開:二酸化炭素(CO2)を使う方法 | 公式の記載(2026年10月12日確認) |
| 澤井珈琲オリジナルカフェインレス紅茶ギフト澤井珈琲 | ピラミッド型ティーバッグ | 公開:二酸化炭素(CO2)を使う方法 | 公式の記載(2026年10月12日確認) |
方法で、味やカフェインの量は変わる?
当サイトでは、まだ言えません。学術誌の総説は、カフェインと一緒に香りや味の成分も出てしまうことがあり、取り除くこととおいしさの両立は難しいとされてきた、と説明しています。ただ、それが商品ごとにどう表れるかは、試飲の記録がないと書けません。
カフェインの量についても、方法と量の記載をあわせて公開している商品は限られています。量の記載は「デカフェ紅茶のカフェイン量」に、商品ごとに原文のまま並べています。
除去方法が気になるときは、どうする?
メーカーの公式の商品ページで方式の名前を確かめ、書かれていなければメーカーに問い合わせます。問い合わせるときは「どの方式でカフェインを取り除いているか」「カフェインの量は何あたり何mgか」を聞くと、ほかの商品と比べやすくなります。
デカフェ紅茶図鑑の各商品のページには、メーカーが公開している方式の記載を、出典と確認日つきで載せています。
まとめ
- カフェインの除去には、原料から溶かし出す方法(二酸化炭素・有機溶剤・湯など)と、抽出液から吸着する方法があります。
- 処理の条件を書いた学術資料はコーヒー生豆のもので、紅茶の茶葉の条件は確かめられていません。
- 除去に使う物質の扱いは国ごとに違いますが、当サイトは方法の安全性の優劣を判断しません。
- 図鑑で方式の名前まで公開している紅茶は一部で、公開状況はデータから一覧にしています。
よくある質問
デカフェ紅茶は体に悪いのですか?
当サイトは、体への影響を判断しません。除去に使う物質は、国ごとに使える用途や残留の上限が法令で決められています。気になるときは、メーカーに除去方法を問い合わせるか、医師に相談してください。
超臨界二酸化炭素抽出法とは何ですか?
臨界点(31.1℃・73.8気圧)を超えた高圧の二酸化炭素に、原料のカフェインを溶かし出して取り除く方法です。処理の条件を書いた学術資料はコーヒー生豆のもので、紅茶の茶葉の条件の資料は見つかりませんでした。
「化学薬品を使用しない」と書いてあれば、方法は分かりますか?
方式の名前が書かれていないので、当サイトでは「非公開」として数えています。どの方法かを知りたいときは、メーカーに問い合わせて確かめます。
家でカフェインを抜く方法はありますか?
当サイトでは勧めていません。家庭でどれだけカフェインが減ったかを確かめる方法がなく、公的な根拠も確かめられていないためです。
出典
この記事の事実は、次の資料で確かめました(情報の確認: 2026年10月12日)。
- 塩野貴史ほか「天然吸着剤による飲料からのカフェイン除去技術」日本食品科学工学会誌 65巻3号(2018年)(2026年10月12日確認)
- 斎藤正三郎「食品・天然物の超臨界ガス抽出 (1) 原理と応用例」化学と生物 24巻2号(2026年10月12日確認)
- 平賀佑也ほか「コーヒー生豆を対象とした超臨界CO2デカフェ抽出法における糖の損失抑制プロセスの構築」化学工学論文集 52巻1号(2026年)(2026年10月12日確認)
- 日本食品化学研究振興財団「指定添加物リスト(規則別表第1)」(2026年10月12日確認)
- 消費者庁「第10版食品添加物公定書 F 使用基準」(2026年10月12日確認)
- 食品安全委員会「ハザード概要シート(案)(塩化メチレン/ジクロロメタン)」(2026年10月12日確認)
- EUR-Lex「Directive 2009/32/EC on extraction solvents(consolidated 16.02.2023)」(2026年10月12日確認)
- GovInfo「21 CFR 173.228 Ethyl acetate」(2024年4月1日版)(2026年10月12日確認)
- GovInfo「21 CFR 173.255 Methylene chloride」(2024年4月1日版)(2026年10月12日確認)
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